シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

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市川崑監督 「おとうと」 1960 レビュー

市川崑監督 「おとうと」 1960 レビュー

日本映画の黄金時代 映画好きは多いが、日本映画が好きな人は少ない。ましてや昭和三十年代の邦画となると、マニアックなジャンルかもしれない。しかし、私は断言する。1956年~1962年の日本映画は、全世界の映画史上最高の黄金時代だ。特に1960年は、新旧の映画監督が意欲作を多発し、大いなる活況を呈した年だ。 東宝には、天皇...
塚本晋也監督 「双生児」 1999 レビュー

塚本晋也監督 「双生児」 1999 レビュー

双生児の流離譚  江戸川乱歩の原作は、1924年に発表されている。舞台となる大徳寺医院は、医院と家屋が同棟にある造りの日本家屋だ。西洋医学の治療を施す医院と、日本建築の普遍性を感じさせる居間や寝室。折衷こそが日本的美の精髄ならば、大正時代を描いた映画は、自ずと格調高くなる。パンキッシュな塚本だからこそ、この王道を丹念に...
ジャンプ

竹内昌男監督 「ジャンプ」 2004 レビュー

甘美なノスタルジー 別れた女ほど、甘いものはない。こっちが年を重ねても、彼女はあの時のまま、若く美しい。唇や指が、彼女の柔らかい身体の感触をはっきりと覚えている。出会った頃のときめきや、落したときの達成感、時折の小さな諍いや、別離のやるせなさ。ヤレなかった女だって、案外悪くない。終電の時間を気にしてドキドキした、渋谷の...
ビートたけし監督 「みんな~やってるか!」 1995 レビュー ネタバレあり

ビートたけし監督 「みんな~やってるか!」 1995 レビュー ネタバレあり

【世界一くだらない傑作】 くだらない。完璧ににくだらない。シリアスで抽象的な映画を4本撮ったのは、このオチのためだったのか。ショートコントを連打する構成だが、シニカルに辛口のギャグとか、ほっこりとした笑いを誘うユーモアとか、都会的なウィットなど一切ない。ただただ低俗、完全なバカ。 ダンカンがVシネマを観ている。オープン...
夢二

鈴木清順監督 「夢二」 1991 レビュー ネタバレあり

難解な映画ではない  「夢二」はわかりにくい映画ではない、ということがようやくわかった。若いころのほうが、物事を率直に自分の眼で見られないものだ。経験値も低く、マスコミの刷り込みの力も大きい。鈴木清順は、難解な映画を作る監督だと思っていた。「ツィゴイネルワイゼン(1980)」を初めて観て、幽玄な異境に誘われた。その後観...
教祖誕生

天間敏宏監督 「教祖誕生」 1993 レビュー ネタバレあり

1990年代の空気 1990年代前半、私は大学をほぼ放擲し、モラトリアム生活を送っていた。深夜のアルバイトを終え、昼夜逆転の朝日に眩暈しながら、名画座を彷徨った。そんな頃、「教祖誕生」を川口の古い映画館で観た。 1980年代からずっと、日本は躁状態だった。誰もが毎日を充実して楽しんでいなければならず、そうでない奴は、「...
黒沢清監督 「CURE」 1997 レビュー ネタバレあり

黒沢清監督 「CURE」 1997 レビュー ネタバレあり

馴れ合いとなった恐怖  催眠術で殺人を誘導する話なのだから、ホラーというよりは、サスペンススリラーか。殺人教唆を繰り返す犯人と刑事の対決。刑事の妻は精神を病んでおり、奇矯な言動で刑事を疲弊させる。親友の精神医学者も、催眠の罠に陥っていく。  深層心理の不可解、催眠によって崩れる倫理の脆さ。観客は、自分にもこんな状況が訪...
浮草

小津安二郎監督 「浮草」 1959 レビュー ネタバレあり

完璧な絵画  港町は真夏の陽射しに照らされている。水平線で空と海はおおらかに結ばれ、坂道も石垣も家屋も、ゆったりと夏へと開かれている。微風が風鈴を揺らしているが、女も、手にした団扇で艶めかしい風を送る。すべてが碧く揺蕩うなか、赤いポストだけが、けばけばしさを主張する。  美術館に飾られるような絵画ではない。長い歴史を受...
模倣犯

森田芳光監督 「模倣犯」 2002 レビュー ネタバレあり

薄っぺらい巨匠  森田芳光は、薄っぺらい巨匠だった。森田は、世界の薄っぺらさを鋭く描き、その虚構性をエンタテイメント化した。最もこの主題を先鋭化したのが、「模倣犯」だ。しかし、「模倣犯」は、評価されていない。「何がいいたいのか、わけがわからない」「監督の自己満足」などと酷評されている。しかし私は、虚構性を増す世界を、鋭...
しとやかな獣

川島雄三監督 「しとやかな獣」 1962 レビュー ネタバレあり

大映黄金期  1962年。大映の黄金期は爛熟していた。市川崑は、ドライなヒューマニズムを切れ味鋭いカッティングで映像化した。増村保造は、日本的な情緒を忌避し、傍若無人な欲望を礼賛した。市川雷蔵は、伝統演劇の様式美を端正な虚無に変換し、映像の中で妖しく蠢いた。勝新太郎は、豪放磊落な偶像を虚実交えて体現した。  大映だけで...

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滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

テレビ全盛期  1980年代、日本のテレビは全盛期を迎えた。報道やバラエティは、半ばリアル、半ばヴァーチャルなメディア空間を創出し、大衆はお手軽なエンタテイメントとしてそれを消費した。「コミック雑誌なんかいらない」には、当時のフジテレビ横澤...
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