シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

佐々木 隆行
佐々木隆行(ささきたかゆき)

1969年生まれ。広島県出身。青山学院大学中退。IT企業勤務。
最初の映画体験は「東映まんがまつり」。仮面ライダーがヒーローだった。ある年、今回は「東宝チャンピオンまつり」に行こうと一旦は決意したものの、広島宝塚へ歩く途中に建っていた広島東映「東映まんがまつり」の楽し気な看板を裏切ることが出来なかったことを痛切に覚えている。
佐々木 隆行の記事一覧
滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

テレビ全盛期  1980年代、日本のテレビは全盛期を迎えた。報道やバラエティは、半ばリアル、半ばヴァーチャルなメディア空間を創出し、大衆はお手軽なエンタテイメントとしてそれを消費した。「コミック雑誌なんかいらない」には、当時のフジテレビ横澤彪プロデューサーが本人役で出演し、部下たちに訓示する。 「視聴者は、ニュースもバ...
新藤兼人監督 「北斎漫画」 1981 レビュー ネタバレあり

新藤兼人監督 「北斎漫画」 1981 レビュー ネタバレあり

江戸の爛熟  江戸の人口は100万人を超えていた。世界一の大都市だったという説もある。日本はガラパゴス的な発展を遂げ、1700年代後半、化政期には文化の爛熟期を迎えていた。葛飾北斎は1760年に産まれ、1848年に死んだ。その20年後に明治維新が起こったことになる。  「北斎漫画」には、曲亭馬琴(西田敏行)、十返舎一九...
蔵原惟繕監督 「憎いあンちくしょう」 1962 レビュー ネタバレあり

蔵原惟繕監督 「憎いあンちくしょう」 1962 レビュー ネタバレあり

浅丘ルリ子の最高傑作  蔵原惟繕のシャープなカッティングも素晴らしい。石原裕次郎の男っぷりも素晴らしい。しかし、この映画の到達点は蔵原や石原の度量ではない。浅丘ルリ子という史上最高の女優が誕生する輝かしい瞬間が、奇跡的というほかないほど鮮やかに刻まれているのだ。  石原裕次郎は、マルチタレントを演じる。当時勃興していた...
増村保造監督 「卍」 1964 レビュー ネタバレあり

増村保造監督 「卍」 1964 レビュー ネタバレあり

格差社会  男は、格差社会に生きていない。もちろん人には優劣がある。頭の良さ、容姿、異性を惹きつける力、運動神経、収入。後天的な努力では逆転できない要素も多い。しかし男は、格差を露呈しない。格差は暗黙に了解され、持てる者は謙虚に振舞う。長幼の序は、格差をあからさまにしないための、知恵だ。しかし、女は違う。美しい女のセク...
sasameyuki

市川崑監督 「細雪」 1983 レビュー ネタバレあり

沈みゆく関西  古代から日本の中心であった関西は、存在感を落とし続けている。現在の関西人はみんな、お笑い芸人のテンプレートを演じている。圧倒的なクオリティを誇った芸能だが、松本人志という異端を大御所化したせいで、停滞している。  「細雪」は昭和初期の阪神モダニズムを描いている。旧い問屋の姉妹が、上本町の本家と芦屋の分家...
入江悠監督 「22年目の告白 -私が殺人犯です-」2017 レビュー ネタバレあり

入江悠監督 「22年目の告白 -私が殺人犯です-」2017 レビュー ネタバレあり

仲村トオルのいかがわしさ  胡散臭いとは思っていた。例えば「接吻(2008)」。小池栄子の圧倒的な狂気と比して、渋く映画を支える名助演のように見える弁護士役だが、どこか嘘くさい。まず、声だ。誠実な男の渋く低い声。そんなものが仲村トオルに似合う筈がない。「22年目の告白」では、報道番組のキャスターを演じている。社会の矛盾...
黒い画集 寒流

鈴木英夫監督 「黒い画集 第二話 寒流」 1961 レビュー ネタバレあり

戦前フォーマットの喪失  戦争に敗けたんだから仕方がない。皇統が継続できただけでも有難い。しかし、ここまで木端微塵に砕かれるとは。「黒い画集 第二話 寒流」を観ると、戦前から継続するフォーマットが、1961年にはまだ残存していたことを思い知らされる。  中堅銀行員の池部良は、常務の平田昭彦に目をかけられ、池袋支店長に抜...
六月の蛇

塚本晋也監督 「六月の蛇」 2002 レビュー ネタバレあり

カルトなヒロイン  強い雨が降りしきるなか、黒沢あすかが、乱れる。白黒ならぬ、「青白」とでも呼ぼうか。モノクロームのフィルムが青い陰影を形どる。無機質なデザイナーズマンションで自慰に耽る黒沢。残切りとでもいうか、無造作に切ったショートカット、スレンダーな肢体。塚本晋也のカルトな美意識の世界に、中性的な黒沢が棲息している...
和田嘉訓監督 「コント55号 世紀の大弱点」 1968 レビュー

和田嘉訓監督 「コント55号 世紀の大弱点」 1968 レビュー

日本映画爛熟の境地  観客数のピークは1958年。敗戦によってリセットされた社会は、ハングリーな活気を呈した。1960年代に突入すると、社会の安定度は戦前の水準を超える。加速する成長のベースになったのは、一体感だ。みな同じことを考え、同じ方法論で行動した。  一体感を創出したのは、テレビだ。映画は、テレビ的な親近感をプ...
冷たい熱帯魚

園子温監督 「冷たい熱帯魚」 2010 レビュー

原初の快楽  「ボディーを透明にする」と、でんでんは表現する。死体を細かく切り刻んで焼却し、残滓を川へ流す行為だ。殺人の動機は、快楽だ。欲望を満たす快楽、快楽の妨げになる人間を殺す快楽。殺人と性行為には、種の生存本能としての快楽が潜んでいる。本来、快楽を味わうことができるのは、強い人間だけだ。強い人間だけが、強い遺伝子...

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滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

滝田洋二郎監督 「コミック雑誌なんかいらない」 1986 レビュー ネタバレあり

テレビ全盛期  1980年代、日本のテレビは全盛期を迎えた。報道やバラエティは、半ばリアル、半ばヴァーチャルなメディア空間を創出し、大衆はお手軽なエンタテイメントとしてそれを消費した。「コミック雑誌なんかいらない」には、当時のフジテレビ横澤...
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