シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

佐々木 隆行
佐々木隆行(ささきたかゆき)

1969年生まれ。広島県出身。青山学院大学中退。IT企業勤務。
最初の映画体験は「東映まんがまつり」。仮面ライダーがヒーローだった。ある年、今回は「東宝チャンピオンまつり」に行こうと一旦は決意したものの、広島宝塚へ歩く途中に建っていた広島東映「東映まんがまつり」の楽し気な看板を裏切ることが出来なかったことを痛切に覚えている。
佐々木 隆行の記事一覧( 7 )
はだかっ子

田坂具隆監督 「はだかっ子」 1961 レビュー

昭和30年代、所沢 タイトルバックは、空撮から始まる。昭和30年代の所沢。住宅は少なく、一面の濃い緑は茶畑なのだろう。電車や街道が濃緑を闊達に切り取って走る。この豊かな人工の濃緑が、まず、映画の豊潤な色彩感覚を頭上から制覇する。 「はだかっ子」は児童文学を原作としており、主人公は小学6年生の元太だ。映画は元太と同級生た...
からっ風野郎

増村保造監督 「からっ風野郎」 1960 レビュー

三島由紀夫初の主演作 三島は当時35歳。数々の傑作を世に出し、既に文豪の域に達していた三島だが、実はまだ30代。テレビや雑誌など、様々なメディアに登場する、時代を代表する有名人でもあった。 三島は自身の監督作「憂国(66)」に主演している他、数本の映画に出演しているが、商業映画の本格的な主演は本作のみである。 監督は増...
ザボーガー

井口昇監督 「電人ザボーガー」2011 レビュー

自由意志で、地球を守っている 映画「電人ザボーガー」は、1974年~1975年に放送されたテレビ番組を映画化した作品だ。テレビ放送当時幼年期だった私は、「仮面ライダー」や「ゴレンジャー」などの戦隊ものが大好きで、戦闘アクションを真似して遊んだ。幼年男子にとって「正義」とは絶対的な概念であり、世の中で最もカッコいいものだ...
空気人形

是枝裕和監督 「空気人形」2009 レビュー

世界への愛情 ダッチワイフが、心を持ってしまう。産まれたばかりの純真な心を持つ「空気人形」は、街へ出て、人々と出会う。世界を知らない「空気人形」にとっては、目にするもの全てが新鮮で、驚くことばかりだ。出会った人との心の交歓が産まれる。まっさらな感性で、雨だれだの、ラムネ瓶だのを慈しむ。 是枝監督は、きっと、こよなくこの...
市川崑監督「悪魔の手毬唄」1977 レビュー

市川崑監督「悪魔の手毬唄」1977 レビュー

クールな映像の美しさ 日本の山村。冬枯れて葉を落とした淋しげな枝が、寒風に吹かれてサワサワとしなる。俯瞰で見ると山々は、微妙なグレーの色合いに沈み、寂寥のなかに佇んでいる。そんな山あいの谷間に建てられた「亀の湯」。瓦屋根のくすんだグレーは、周囲の木々と絶妙なグラデーションを奏で、この宿の奥に温泉が湧き出ていることを、慎...
山田洋次監督「男はつらいよ」1969 レビュー

山田洋次監督「男はつらいよ」1969 レビュー

庶民が織りなす世間 松竹映画ホームドラマの本流は、小津安二郎から山田洋次に引き継がれた。小津安二郎もまた、家族や肉親の情愛をテーマとしていたが、人間同士が本当にわかりあえることなどない、という諦念を根底に据えていた。人が人を疎ましく思う気持ちを拭い去ることは不可能であり、ディスコミニケーションが常態であることを前提とし...
2001年宇宙の旅

スタンリー・キューブリック監督「2001年宇宙の旅」(2001: A Space Odyssey)1968 レビュー...

壮大すぎるSF映画の金字塔  1957年、ソ連が初の人工衛星の打ち上げに成功、1961年には有人宇宙飛行もソ連が成し遂げ、米ソの宇宙開発競争はソ連が一歩リードしていた。軍事技術への応用も重要な目的だったが、米ソの覇権争いのさなか、国家の威信の象徴として、宇宙開発は過熱していた。  宇宙空間から見た地球の映像を初めて見た...
容疑者Xの献身

西谷弘監督 「容疑者Xの献身」 2008 レビュー ネタバレあり

「ガリレオ」シリーズの異色映画化 「容疑者Xの献身」は、テレビドラマシリーズ「ガリレオ」の映画化作品である。シリーズものでは、メインの配役やキャラクター設定などのフォーマットを確立することが最も重要だ。視聴者は優れたフォーマットを繰り返し楽しむことで、その小宇宙に深く入り込んでいくことになる。その拡大版である映画化作品...
散歩する侵略者

黒沢清監督 「散歩する侵略者」 2017 レビュー ネタバレあり

あらすじ 数日間の行方不明の後、不仲だった夫がまるで別人のようになって帰ってきた。急に穏やかで優しくなった夫に戸惑う加瀬鳴海(長澤まさみ)。夫・加瀬真治(松田龍平)は毎日散歩に出かけて行く。一体何をしているのか…?同じ頃、町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発する。ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は取材中に一人...
教誨師

佐向大監督 「教誨師」 2018 レビュー ネタバレあり

あらすじ プロテスタントの牧師、佐伯保(大杉漣)。彼は教誨師として月に2回拘置所を訪れ、一癖も二癖もある死刑囚と面会する。無言を貫き、佐伯の問いにも一切応えようとしない鈴木(古舘寛治)。気のよいヤクザの組長、吉田(光石研)。年老いたホームレス、進藤(五頭岳夫)。よくしゃべる関西出身の中年女性、野口(烏丸せつこ)。面会に...

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