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映画『ターミネーター 新起動/ジェニシス』レビュー ネタバレあり

映画『ターミネーター 新起動/ジェニシス』レビュー ネタバレあり

監督:アラン・テイラー
原作:ジェームズ・キャメロン、ゲイル・アン・ハード
主演:アーノルド・シュワルツネッガー、ジェイソン・クラーク、エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー

ネタバレ度:★★★☆☆

約40年の時を超えて、伝説のガチムキマッチョマンたちの戦いがアイル・ビー・バック!!
再び時空を超えた陰険人工知能との攻防が幕を開ける!

概要

2039年、ついにスカイネットを追い詰めたジョン・コナーら人類の反乱軍。
ジョンは運命の輪を紡ぐべく、カイル・リースをタイムマシンで過去へ送り込む。
だが、彼は時間移動の刹那、ありえないはずの平和な子供時代の光景を垣間見る。そして辿り着いた時代には、平凡なウエイトレスだと聞かされていたサラ・コナーが、でっかい武器を携えて現れた!
現代ナイズするならともうやりたい放題やで!

一新されたキャストたち

主役のアーノルド・シュワルツネッガーが政治家になってしまったり年老いてきてしまったのでどーすんだと言われていましたが、なんとおじいちゃんになって登場!
これは1~2で一世を風靡した元祖ジェームズ・キャメロンのアイデアだそうです。
しかも最初はちゃんと青年としても登場します! さすがだぜ巨匠!
もっとも、こちらはフルCGを採用しているそうです。最初はそっくりさん(『ターミネーター4』で試作型ターミネーターを演じたボディビルダー)を使う予定だったところ、完全再現には程遠かったため、変更になったとのこと。
こだわりがスゲェ!
夢の新旧シュワちゃんによる同キャラ対戦。ファンなら一見の価値ありです。

新サラ・コナー演じるエミリア・クラークは、華奢で徐々に覚悟完了していったリンダ・ハミルトンの旧サラとは違い、グラマーで出だしからたくましく、「とりあえず全部ふっ飛ばす!」とのたまう脳筋ヒロインです。
にも関わらず、ちゃんと可愛いのがすごいです(笑)
エイリアン2やターミネーター2などから培われてきた『戦う女性』の系譜をしっかり継承しつつも、「キュートさも併せ持ちたい!」という現代的で欲張りなヒロイン像を見事に体現しています。

再び主人公の一人となったカイル・リースも、『ターミネーター』にて一匹狼のようなシャープさと繊細さを漂わせていたマイケル・ビーンから、ジェイ・コートニー演じるザッツ軍人!と言わんばかりのムキムキイケメンとなっています。
まるでバイオハザードシリーズのクリス・レッドフィールドが、5から突然ゴリラ化したのを思い出させます。
というか、キャラクターたちのマッチョ度が過去最高なのではなかろうか……? どいつもこいつもガタイやべえ。

懐かしい演出の数々

『ターミネーター2』にて観客を「こいつどうやったら倒せるんだ……」と絶望させた、液体金属型ターミネーター・T-1000もなんと再登場。
旧作ファンならニヤリとさせられるあの様々な強者演出を披露してくれます。
しかも演じるのはかの有名なイ・ビョンホン!
まさかアジア人がターミネーターやるとは思いもよらず、不意打ちを食らいました(笑)
『ターミネーター2』におけるロバート・パトリックの印象が強烈過ぎますが、無機質さという点でいえば引けをとらない存在感と言えるでしょう。
あくまで中ボスなので割と序盤に倒されてしまいはしますが、その方法が実にクール!
個人的にはそこが一番テンション上がりました。

また、いつもの通りスカイネットの開発元であるサイバーダイン社が出てくるのですが、『ターミネーター2』にてチップ段階のスカイネットを制作したマイルズ・ダイソンが重役として、また、その息子のダニーが研究者として再登場します。
『ターミネーター2』ではまだ2歳だった子供が立派になって……と、時代設定がズレたことを上手く利用してくれています。

他にもいつものように、ファンなら思わずニヤリとさせられる過去作のオマージュが散りばめられています。それを探してみるのも楽しみの一つでしょう。
何よりも製作者が一番シリーズ大好きなんだなぁというのが伝わってきます。

悪辣! スカイネット!

新たな敵であるT-3000は、ナノマシンの群体です。
液体金属のT-1000と同じ能力を持ちつつ、物理攻撃によるダメージ耐性はシリーズ通しても随一です。
しかし3のT-Xのように何でもアリではなく割とシンプルな強さなので、いくら撃たれても死なないマッチョ同士のドつき合いが実に映えます。
何より、サラとカイルの前に立ちふさがるその姿が実に邪悪……
こ、この手があったか! とゾクゾクしました。スカイネットの陰湿さと執念深さを体現するかのような存在です。
そこだけでも、ただ不死身の殺戮マシーンが執拗に追いかけてくる恐ろしさとは別の、ドラマ性が付与されていました。
ターミネーター3のT-Xなんかは完全にネタ切れ感出ていましたからね(笑)
まあ当時はVFX技術が大幅に進化し始めて、製作者側もそれだけでキャッキャしてた雰囲気があったので致し方ない部分もあります。
T-1000の変形能力が強化+αされただけだったことから、おもしろ戦闘能力を追加するより、キャラクター性を向上させてきたのはナイスな判断です。

とはいえ、割と致命的な弱点をさらしたまま放置しているので、ちょっとヌルく感じました。
さすがに敵側も少しは対策した方が良かったのでは……?
ナメプした末に倒されてしまうのは、不死身能力を持った悪役の定めのようです。
お前ら少しは防御しろ。

タイムパラドックス?

ストーリーが進むに連れ、どうやらスカイネットは凶悪極まりないリセマラをしていたことが明らかになります(と、いうことにされています)
前作までのファンは一見すると「おいおい、これまでの話がなかったことになっとるやんけ!」とうっかり激おこになってしまうかもしれませんが、それは早とちりというものです。
これまでの流れをざっくりまとめてみましょう。

①ターミネーター→1984年、カイルが未来からやって来てサラとの間にジョンができる。

②ターミネーター2→1997年段階でのスカイネット(ICチップ)が倒される。

③ターミネーター3→なぜか2007年にOSとして復活していたスカイネットが人類へ攻撃(審判の日)。

④ターミネーター4→未来編。ジョンが色々ガンバる(特にまだ決着は着かない)

各種サイトのレビューにて「整合性が取れてない!」とプリプリしている人を多数見かけましたが、よくよく整理して考えみると、②で一度スカイネットは敗北し、③の絶望エンドで人類に対してリベンジを果たしているのです。

よって本作はリセット後の時系列になり、③よりさらに後である現代(2017年)でスカイネットが攻撃をすることになっているのも一応辻褄は合っているのです。

そればかりか、実は作品として描かれている以上に何度も何度も時空をまたいだ戦いが繰り広げられていたことがほのめかされています。
ジョン・コナーにいたっては毎回キャラどころか顔の系統まで変わってる気がしますが、これも繰り返されるループの影響でしょう。

シリーズの今後

また、今年2019年、6作目となる『ターミネーター・ニューフェイト』が公開予定です。
しかもこちらは2を大成功に導いたジェームズ・キャメロンがプロデューサーに、そしてリンダ・ハミルトンが再びサラ・コナーとして復帰することが発表されています。
アーノルド・シュワルツネッガーは主役ではなく、物語のサポート役のようです。過去回想で出てくるのかな?と予想しています。

新たなる三部作となる予定であり、「2の正統続編なので、3~5作目までのことは忘れていいよ!」と宣言しています。
何たるタイムパラドックス! 何度だって繰り返すぜぇぇぇ!!
新作が出る度に言ってるので、今度こそ三部作詐欺にならないことを祈ります(笑)

個人的には本作『ジェニシス』が面白すぎたので、なんとかこちらのタイムラインもシリーズ化して欲しいところ。
興行収入的にはシリーズ第2位で、世界的には大ヒットの部類のはずなのですが……
本国アメリカでの売上が全体の2割程度で微妙だったのがネックなようです。
あとは中国の映画館が、チケットをプロパガンダ映画とすり替えるという割とシャレにならない珍事を行っていたことも関係するのかもしれません。陰謀の臭いがするぜ……

いっそマーヴェルのようにパラレルワールドありありにしてしまえばいいのですよ!
だってこれはターミネーターなのですから。
多少のタイムパラドックスなんて、アスタ・ラ・ビスタ・ベイベー!!(撃鉄の打ち下ろされる音)

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ラダ
【プロフィール】
筆者:ラダ
ライアーゲームとTRPG大好きっ子。
自分でオリジナルのゲームやシナリオを作っては、ゲームマスターとして高みから見物するのが趣味。
プレイヤーとしてはポンコツ。
最近リアルでも秋葉原にてライアーゲームを主催し始めたものの、人が集まらないのが悩みドコロ。
興味ある人は連絡してマジで↓
Twitterアカウント『@radayarou

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