シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

FOLLOWERS-フォロワーズ- 感想 ネタバレあり

FOLLOWERS-フォロワーズ- 感想 ネタバレあり

主なキャスト

◆奈良リミ役・・・中谷美紀
◆ 百田なつめ役・・・池田エライザ
◆ 田嶌エリコ役・・・夏木マリ
◆ 群青あかね役 ・・・板谷由夏
◆ サニー役・・・コムアイ
◆ sayo役・・・中島美嘉
◆ 望月民生役・・・浅野忠信
◆ 野間ヒラク役 ・・・上杉柊平
◆ ゆる子役・・・金子ノブアキ
◆ 和田博嗣役・・・眞島秀和
◆ 季生役・・・笠松将
◆ ノリ 役・・・ゆうたろう

感想

この作品を観ると、その鮮やかな色彩に観ている人が覚醒します。さすが蜷川実花作品!

その煌びやかな色彩は同監督の作品である『ヘルタースケルター』を彷彿とさせます。
沢尻エリカ出てくるじゃねーのコレ?
と思ったら、ホントに沢尻エリカが出てくるではありませんか!沢尻エリカは沢尻エリカ役として、 本作にちょびっと出てきます。のっけから感じていたことですが、この作品、いちいち端役からして 豪華メンバー過ぎなんですよね!ちょっと調べてみると、この作品、一話で数億かけているんだとか・・。 宝くじ何回当てたらこの作品全部創れるんだよ、と。

色彩には意味が

このようにキラキラ満載の蜷川実花作品は、その色彩に様々な意味を込めていると考察します。

例えば、なつめの中でのピンクは「物事が良い方向に前に進む時の煌めき・予感」を意味していると感じます(それだけじゃないけど)。

この作品の主人公の一人であるなつめ(池田エライザ)の髪色は、インナーカラーにピンクを入れて、外側を黒くしています。

この髪色が非常によくできていて、なつめが精神的に前向きになると、街を疾走する描写が作品内でよく発生します。
そしてなつめが疾走する際に、空気抵抗を受けて、なつめの黒髪が後ろに流れ、インナーカラーのピンクが外に大きく顕れるのですね。

明度差のあるバイカラーのヘヤーギミックをうまく利用することで、なつめの心理描写に色彩を巧妙にリンクさせており、非常に秀逸な演出であると感じました。すげーよ 蜷川実花 監督!!

東京タワーは都会という小宇宙を描いた太極図

また、東京を象徴する存在として、夜景の東京タワーが何度となく出てきます。やっぱりいいですよね東京タワー。スカイツリーじゃダメなんだ。東京タワーじゃないとね。人々の欲望、キラキラ、闇、希望これらの清濁を一絡げにして超然と屹立する存在、それが東京タワー。この作品では、人々の憧れ(明)や夢破れて消えていった亡者のレクイエム的シンボル(暗)の両面を担った存在として東京タワーが描かれているように見えます。夢であり巨大な墓標、FOLLOWERSにおいて東京タワーは都会という小宇宙を描いた太極図なんじゃあないかと。

承認欲求の向こう側

最終話でリミ( 中谷美紀 )が「あなたの最大のフォロワーはあなたなんです」というセリフを放ちます。

名言ですね!「他人からどう思われるかじゃない。承認欲求の向こう側に到達してみなさい。そうすれば、いいね!をつけるのは他人じゃなく自分なんだということが分かるのよ」ということを教えてくれるような作品だと思います。

ここからはネタバレ

※ここからはネタバレが多く含まれます。作品を楽しみたい方は飛ばしてね。

第一話 Hashtag-ハッシュタグ-

東京タワーをバックに リミ(中谷美紀) がなつめ(池田エライザ)を写真撮影するところからストーリーは始まります。

でも物語でこのシーンに行き着くのはもう少し先のお話。

その描写から場所は打って変わって、Women of the Future Mentor Awardsというイベントのレッドカーペットのシーンになります。

っていきなりこのシーンで山田優が登場。山田優は山田優役として登場しているのですが、端役です。

豪華過ぎだろ!他にも土屋アンナ、MEGUMIなどの有名モデルが登場しています。すごい豪華ですね FOLLOWERS !

そこへリムジンで駆けつけるのが、”奈良リミ”演じる中谷美紀、リミのマネージャーである”ゆる子”を演じる金子ノブアキ。金子ノブアキかっこいいですねー!

この金子ノブアキ演じるゆる子。作品の中でものすごくいい味出しています。ムードメーカーであることは勿論のこと、細かい気配りが効いて、仕事ができてその上イケメン。世の女社長、女子社員たちはこんな完璧イケメンが職場にいてくれたら毎日喜んで仕事に出かけてしまいますよね。

『ブザー・ビート』や『CRISIS』などの作品で、かっこいい悪役に定評のある金子ノブアキですが、本作ではそのような角や剣のある雰囲気は皆無。金子ノブアキのカメレオン俳優的なエッセンスがたくさん詰まっている仕様となっております。

そして田嶌エリコ役を演じる夏木マリ。

カッコよすぎるぜぇこの人!御年67歳(リアル年齢)の夏木さん。こんなにツーブロックが似合うアラセブは見たことがありません!!夏木マリさんの生き方、立ち振る舞いすべてがカッコイイ!

本作では、 笠松将が演じる季生27歳(リアル年齢)と恋に落ちます。その年齢差なんと、40歳!!二人の出逢いのシーンなのですが、イベント会場でエリコ(夏木マリ)が人とぶつかり、よろけて倒れそうになるところを 季生(笠松将)が抱きかかえて助けるのです。

綾野剛似の若いマッチョイケメンである 季生 。その彼をして「あれ、オレがナンパしようとしたのに先越されちゃった?」と彼の方から積極的な言葉を吐かせるのですよ。こんな魅力的なアラセブいますー?!人間は歳を重ね続ける中で一体どこまでの間、ロマンスを、青春を謳歌し続けることができるのか?この作品の中で夏木マリという女優はそのような想いを抱かせてくれる存在です。

中島美嘉が演じるsayoも魅力的です。 sayoはセレモニー( Women of the Future Mentor Awards )に華をそえるアーティストとして、第一話から登場する主要人物の一人です。セレモニーでは、アーティストsayoとして、その美声を披露しています。

このsayoですが、アーティストとしての苦悩を多分に抱えた存在として描かれており、実際、中島美嘉自身も2010年ころに発症した両側耳管開放症などで歌手活動が思うようにできなかった背景などを考えると作品により一層、感情移入してしまうところがあります。

そしてそしてーWomen of the Future Mentor Awardsで最後に受賞者として呼ばれるのが本作品主人公の写真家 奈良リミ(中谷美紀)なのであります!

中谷美紀!キレイ過ぎるぜぇー!!こんな金髪マッシュルームなんて髪型が似合う日本人女性そうはいないよ!まかり間違ったらガッシュベルになっちまうじゃん。

この奈良リミ(中谷美紀)、蜷川実花監督の分身みたいなものなんですよね。そして受賞の挨拶でリミが解き放たった言葉がこれだ。

「仕事も女性としての幸せも、当たり前だけど何も諦めない」

言うねぇリミちゃん。筆者は男ですが、この女性差別がまだまだ色濃く残る今の日本で、実は男性だってこんな生き方はなかなかできないと思っております。このセリフを聞いて、ある歌の詩が自然と思い出されました。現在、人気沸騰中のKing Gnuの『白日』という歌にこんな一節があるんですよ。

「忙しない日常の中で 歳だけ重ねた その向こう側に 待ち受けるのは天国か地獄か」

特にこれといった才能もない、突き抜けた努力を継続できるメンタルもない人間は、忙しない日常の中で”何者にもなれない自分”という存在と、”こう在りたい自分”とのギャップの狭間で苦しみながら、組織の歯車として生きていきます。そのような中、 リミの「仕事も女性としての幸せも、当たり前だけど何も諦めない」 というセリフは、あまりにも眩しいとは思いませんか?

そもそも、このような生き方を世の中の人間がどれほど望んでいるのでしょうか?

のっけからリミの言葉は考えさせられるものがありましたよ、ええ。

そして、もう一人の主人公である 百田なつめ (池田エライザ)。女優として成功する夢を見ながらも、もらえる役と言えば、死体役ばかり。そんな冴えない女優がある日、大物写真家であるリミのある種、気まぐれ的なSNSの投稿によって脚光を浴びることになるのです。

なるほど、いいキャスティングですね。母はスペイン系フィリピン人である池田エライザ。恐らくは母親ゆずりであろうエキゾチックなその目元は、普段はアンニュイでクールな眼差しを放っていますが、感情の籠ったシーンになると、その眼に情熱的な炎を一気に灯します。ナイス瞬発力!その一例がこちらのシーン。

このシーンは、なつめがある日、お菓子の広告のスタンドイン(広告撮影やテレビ番組の撮影の前に演者本人の代わりに照明の加減や俳優・タレントの立ち位置などをチェックする代役の仕事の事) で呼ばれた際に、いけ好かないディレクターから、けちょんけちょんにけなされた時のものです。

普段の池田エライザの印象とは全然違うのです。池田エライザという女優の魅力は、アンニュイな視線や表情ではなく、実は”伏し目”の美しさ・情緒にあると思ってるのですよ私は。

このなつめという存在は、池田エライザに演じさせることによって、冒頭でも書いたピンクと黒のヘアカラーギミックとは別に、”伏し目と睨み”によるコントラストの妙によって、とても魅力的な躍動感を生み出しているんじゃないかなぁと感じました。

いやぁ、観ていてウキウキするようなドラマだなぁ!

ネオトレンディ – FOLLOWERSという作品は、”キラキラした泡沫(うたかた)” 

確かにこの作品は、「脚本がつまらない」、「登場人物に共感できない」などの声も数多く聞きます。

でもね、FOLLOWERSという作品は、”キラキラした泡沫(うたかた)” なのですよ。そう、シャンパンの泡のようなね。これでいいんです。 仕事・恋愛・友情・妊娠・出産・LGBT・闘病・シングルマザー・ユーチューバー・Uber Eats・SNSなど現代社会のダイバーシティを全部乗せした言わば ”ネオトレンディ”なのです。

なので、この FOLLOWERSを自分の血肉にするという用途ではなく、「消費することそれ自体で得られる快楽」を嗜むというベクトルで観ると、本当に素晴らしい作品だと思うんですよね(そもそもエンタメってそういうもんだろ 笑)。

Netflix への余計な忖度は必要ない でもアンチは愛情の裏返し

また、余計なことを言っちゃうと、この作品は、 Netflix(ネットフリックス)がゴリ押しするオリジナルドラマなんです。 Netflix は現在のところ、どこのASPともアフィリエイト提携(成果報酬<ここでは会員登録>で広告主から媒体にお金を払う仕組み)をしていないんですよね。ということはですよ、このようなレビュー記事を書く際に、ライターは Netflix に対して余計な忖度をする必要がないのですね。

もっと言うと、ライターは、わざわざ作品の良さのみにフォーカスして、 Netflix に誘導する必然性はないということです。むしろ否定的なポイントが作品にあれば、そこを強調することで、「この媒体は作品をほめるだけでなく、フラットな目線でレビューを書いている」という認識を読者に与えられるワケです。

プラスして、VOD(ビデオ・オン・デマンド)専門でサイトを運営しているライターは、 Netflix に対して「アフィリエイト提携をどこともしていない Netflixは調子に乗ってる」と思っているアンチが多いような気がします。

なので、アンチNetflix的( とはいえNetflix は非常に魅力的なVODサービスなので、アンチなのは愛情の裏返し)な想いや前述した必然性の欠如が、レビューにおける否定的なコメントを助長し、そのレビューを読んだネット読者に否定感情がインフルエンスしていくというのが私の見解です。ちがうか?笑 ちがってたらスマン!!

でも私は、 FOLLOWERSを観て損はしないと思いますよ。是非ともお試しあれ~!

https://www.netflix.com/jp/title/80233221

ABOUT THE AUTHOR

消費者Xの転身
世の中にはたくさんの素晴らしいエンタメがある。これまでそれらを消費するだけの生き方をしてきました。だけど、ちょっとだけ発信する側に回ってみます。だって楽しいんだもんっ!

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