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空白

𠮷田恵輔監督 「空白」 2021 レビュー ネタバレあり

薄い人  世の中には、目立つ人がいる。頭の良い人、仕事の出来る人、異性にモテる人、ルックスのいい人、声の大きい人。しかし、そんな特長のある人ばかりではない。むしろ、目立たず、存在感の薄い人のほうが多い。彼等は、自己主張することなく、ひっそりと生きている。彼等の考えていることは、周囲に伝わらない。攻撃性や嫉妬にも乏しいの...
北野武監督 「その男、凶暴につき」 1989 レビュー ネタバレあり

北野武監督 「その男、凶暴につき」 1989 レビュー ネタバレあり

常識的な感性  北野武は、ごく常識的な感性を持った人だ。往年のオールナイトニッポンのトークを聴くとわかる。たけしは、権力者と市井人、富豪と貧民が混在する社会の「狭間」に産まれる「間抜け」な状態を揶揄して笑いに転化した。漫才やコントでもこの「間抜け」を嗤い、かつ、愛着して表現した。「間抜け」の面白さを巧く表現するには、双...
新藤兼人監督 「北斎漫画」 1981 レビュー ネタバレあり

新藤兼人監督 「北斎漫画」 1981 レビュー ネタバレあり

江戸の爛熟  江戸の人口は100万人を超えていた。世界一の大都市だったという説もある。日本はガラパゴス的な発展を遂げ、1700年代後半、化政期には文化の爛熟期を迎えていた。葛飾北斎は1760年に産まれ、1848年に死んだ。その20年後に明治維新が起こったことになる。  「北斎漫画」には、曲亭馬琴(西田敏行)、十返舎一九...
蔵原惟繕監督 「憎いあンちくしょう」 1962 レビュー ネタバレあり

蔵原惟繕監督 「憎いあンちくしょう」 1962 レビュー ネタバレあり

浅丘ルリ子の最高傑作  蔵原惟繕のシャープなカッティングも素晴らしい。石原裕次郎の男っぷりも素晴らしい。しかし、この映画の到達点は蔵原や石原の度量ではない。浅丘ルリ子という史上最高の女優が誕生する輝かしい瞬間が、奇跡的というほかないほど鮮やかに刻まれているのだ。  石原裕次郎は、マルチタレントを演じる。当時勃興していた...
増村保造監督 「卍」 1964 レビュー ネタバレあり

増村保造監督 「卍」 1964 レビュー ネタバレあり

格差社会  男は、格差社会に生きていない。もちろん人には優劣がある。頭の良さ、容姿、異性を惹きつける力、運動神経、収入。後天的な努力では逆転できない要素も多い。しかし男は、格差を露呈しない。格差は暗黙に了解され、持てる者は謙虚に振舞う。長幼の序は、格差をあからさまにしないための、知恵だ。しかし、女は違う。美しい女のセク...
sasameyuki

市川崑監督 「細雪」 1983 レビュー ネタバレあり

沈みゆく関西  古代から日本の中心であった関西は、存在感を落とし続けている。現在の関西人はみんな、お笑い芸人のテンプレートを演じている。圧倒的なクオリティを誇った芸能だが、松本人志という異端を大御所化したせいで、停滞している。  「細雪」は昭和初期の阪神モダニズムを描いている。旧い問屋の姉妹が、上本町の本家と芦屋の分家...
黒い画集 寒流

鈴木英夫監督 「黒い画集 第二話 寒流」 1961 レビュー ネタバレあり

戦前フォーマットの喪失  戦争に敗けたんだから仕方がない。皇統が継続できただけでも有難い。しかし、ここまで木端微塵に砕かれるとは。「黒い画集 第二話 寒流」を観ると、戦前から継続するフォーマットが、1961年にはまだ残存していたことを思い知らされる。  中堅銀行員の池部良は、常務の平田昭彦に目をかけられ、池袋支店長に抜...
市川崑監督 「おとうと」 1960 レビュー

市川崑監督 「おとうと」 1960 レビュー

日本映画の黄金時代 映画好きは多いが、日本映画が好きな人は少ない。ましてや昭和三十年代の邦画となると、マニアックなジャンルかもしれない。しかし、私は断言する。1956年~1962年の日本映画は、全世界の映画史上最高の黄金時代だ。特に1960年は、新旧の映画監督が意欲作を多発し、大いなる活況を呈した年だ。 東宝には、天皇...
夢二

鈴木清順監督 「夢二」 1991 レビュー ネタバレあり

難解な映画ではない  「夢二」はわかりにくい映画ではない、ということがようやくわかった。若いころのほうが、物事を率直に自分の眼で見られないものだ。経験値も低く、マスコミの刷り込みの力も大きい。鈴木清順は、難解な映画を作る監督だと思っていた。「ツィゴイネルワイゼン(1980)」を初めて観て、幽玄な異境に誘われた。その後観...
教祖誕生

天間敏宏監督 「教祖誕生」 1993 レビュー ネタバレあり

1990年代の空気 1990年代前半、私は大学をほぼ放擲し、モラトリアム生活を送っていた。深夜のアルバイトを終え、昼夜逆転の朝日に眩暈しながら、名画座を彷徨った。そんな頃、「教祖誕生」を川口の古い映画館で観た。 1980年代からずっと、日本は躁状態だった。誰もが毎日を充実して楽しんでいなければならず、そうでない奴は、「...

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