シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

2023

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是枝裕和監督 「三度目の殺人」 2017 レビュー

是枝裕和監督 「三度目の殺人」 2017 レビュー

司法運営の是非  下打ち合わせ。根回し。一般の会社でもそうだ。会議でいきなり、ガチンコの議論はしない。そのほうが合意形成しやすいからだ。容疑者である役所広司は、幾度も証言を翻す。被害者の娘である広瀬すずは、裁判の方向性に合わない事実を告白する。しかし、弁護士(福山雅治)には、真実の希求など全く念頭にない。減刑を少しでも...
根岸吉太郎監督 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」 2009 レビュー

根岸吉太郎監督 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」 2009 レビュー

戦後のリセット  戦争が終わり、兵役を解かれた男たちは、肉体労働に汗を流した。疲れた身体は、酒という刺激を欲する。映画の舞台となる居酒屋「椿屋」には、そんな男どもが集まってくる。「椿屋」が店を構えるのは中野、おそらくはサンモールの東側だろう。この界隈には現在も小さな飲み屋がひしめき合っている。  ゴチャゴチャと小汚い建...
山田洋次監督 「男はつらいよ お帰り寅さん」 2019 レビュー

山田洋次監督 「男はつらいよ お帰り寅さん」 2019 レビュー

堂々たる新作  裏切られた。これはノスタルジーではない。シリーズの名シーンがインサートされ、亡き寅さんを皆で懐かしがる代物だと思っていた。確かに懐かしんではいる。インサートシーンも多い。しかし、「男はつらいよ お帰り寅さん」は、「男はつらいよ」シリーズの予定調和をなぞらない、2019年バリバリ新作の日本映画だった。  ...
市川崑監督 「病院坂の首縊りの家」 1979 レビュー

市川崑監督 「病院坂の首縊りの家」 1979 レビュー

横暴で短絡的な男  病院坂の勾配は鋭い。遠くから観るとほとんど直角であるかのようだ。この坂を人力車が登る。周囲に緑はなく、色彩は灰色と薄茶色のみ。「病院坂の首縊りの家」は淡い色彩と鋭い構図の映画である。  オープニングのタイトルバックは、ジャズバンドの演奏シーンだ。舞台は1951年、架空の町である吉野市は、関西の盆地に...

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