シネマ執事

LIAR GAME The Final Stage(ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ)レビュー ネタバレあり

主演:松田翔太、戸田恵梨香
曲:中田ヤスタカ
原作:甲斐谷忍

ムカつく上司、嫌味なあいつを、知的にスマートにやり込めてやりたい!
そう思ったことはありませんか?
私はよくあります。

そんなあなたのリベンジのヒントになるやも知れない作品、それが本作『LIAR GAME The Final Stage(ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ)』です。
億単位の大金をプレイヤー間で奪い合うため、裏をかき、心理を読み、駆け引きし、そしてルールや小道具を利用したトリックで華麗にトドメを刺す――そんなステキな頭脳戦です。

あらすじ

戸田恵梨香、松田翔太共演の人気ドラマ劇場版。優勝50億円をかけた、だまし合いゲームの最終決戦が幕を開ける!
相手をだまし、ゲームに勝てば賞金を獲得。敗退すれば多額の負債を負うという、欲望にまみれたトーナメント“ライアーゲーム”。そのゲームに巻き込まれ、窮地に陥った女子大生の神崎直は、天才詐欺師の秋山深一に助けを求める。ふたりは優勝賞金50億円をかけたトーナメントを勝ち進み、決勝までたどりつくが、決勝進出者11名の中には、最強の刺客“プレイヤーX” が姿を潜めていた。

https://tv.rakuten.co.jp/content/62852/

基本的なルールは、三種類のリンゴを13ターン投票し合い、多数決で勝てば1億円ゲット。負ければ同じく1億円マイナスされるという恐ろしいもの。
そして、『真実の赤リンゴ』を全員が信じ合って揃えた時、ライアーゲーム事務局にすら勝利できるという――
優勝賞金はなんと50億円です。会社が余裕で買える!!
一見シンプルなルールですが、「そんな手があったのか!」と2時間ちょっとの中で何度も驚嘆すること請け合いです。

とはいえ、実写版のウリはまず個性豊かなキャラクターたちです。

個性豊かなキャラクターたち


ドSな天才主人公アキヤマとバカ正直でいつも騙されてしまうヒロイン・カンザキらが、やたら目に痛いカラフルな衣装に彩られたライバルたちと火花を散らします。

特にキノコ頭にデカ眼鏡のフクナガ(鈴木浩介)は、ドラマを観ていなくても知っている人さえいるほど(笑)
裏切っては高笑いをあげるその演出が毎度レベルアップし、ムカつくシーンのはずなのにギャグになっているのは有名です。

他にも驚くとハトが飛び出ちゃう手品師、全身タイツの美女、シルバースーツのヤクザ、中田英寿みたいなオサレストールの銀行マンなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが登場します。
さすが決勝戦だけあって、キワモノなだけでなくほとんど全員がここまで勝ち上がってきただけの実力を見せてくれます。
一部例外との差がデカイことデカイこと! お前らよくここまで来れたな?!

本作の設定

本作は2シーズンに渡りフジテレビにて放映された、実写ドラマの決勝戦に位置づけられます。


ライアーゲーム事務局の正体とは?
主役2人の結末は?
大量の敗者たちはどうなるの?


といったメインストーリーの決着が描かれます。
ドラマ版では過去の傷と復讐に燃えるアキヤマに主眼が置かれていました。
本作では長い戦いを経て、カンザキがどう変わったか、エゴを捨てられない人間たちに対し、自分なりにどんな答えを導き出したかが描かれます。
まあ……そのおかげで色々とんでもない展開が起こるのですが……
また、意外な人物が彼らの前に現れ、思いもよらない方向からこの作品のテーマ性を補完してくれます。

といっても、本作だけでも充分楽しめるように作られていますので、ご心配なく。
しかも、TVシリーズでのセルフオマージュや定番展開をこれでもかと盛り込んであり、ファンは二度美味しく、初見者にも最初から全部観たくさせる魅力があります。
決勝戦というだけあって、騙し合いもこれまで以上に熾烈です。
その分、ちょっと展開詰め詰めかな〜?という面もあり、視聴しながら戦略や一人有利に進めるプレイヤーXを推理するのはほぼ無理ゲーなのは確かでしょう。
なぁに、何回も観ればいいじゃないか

プレイヤーXとは、2回戦『少数決』にてゲームを影で操っていた謎のプレイヤーに冠された呼び名ですが、この正体隠匿性の高い決勝戦でも何者かが暗躍します。
おまけに、2回戦ではメタ読みで「明らかにコイツだろw」とわかってしまったのが、今回は最後まで当てるのは困難です。
その正体を暴き出し、見事に罠に嵌めるアキヤマは本当にカッコいいです。

勝ち誇っていた敵プレイヤーがアキヤマにまんまと裏をかかれ、絶叫と共に崩れ落ちる様は必見です。
きっとあなたのダークサイド……じゃなかった、正義感と知的好奇心を満足させてくれることでしょう。
筆者はリアルにそこだけ100回くらい観ました

ド派手でスタイリッシュな演出

また、小難しいトリックやルールの説明でも退屈させない、ド派手でスタイリッシュな演出も特色の1つです。
カット割だけでもそこらの映像作品の3〜5倍はあり、とにかくカッコよさを追求されています。
実は筆者、ライアーゲームが好き過ぎて2次創作動画とか作ってたのですが、キメシーンでのあまりの編集の細かさに「この数秒のためにどんだけ手間かかるんだよ!」と自宅で悲鳴を上げていました。
でも真似しちゃう。カッコいいから。

フリークの界隈ではオンラインやリアルでオリジナルのライアーゲームを開催するムーブメントがあったのですが、「ディーラー役の喜山茂雄さん(声優)にルール説明読んでもらいたいよね!」というのが主催者らのもっぱらの願望でした。

原作は週間ヤングジャンプで連載されていた漫画です。
主人公アキヤマの性格が違ったり(めっちゃ好青年)、カンザキが若干賢かったり、フクナガのアレがアレだったりと、そこからもたらされるストーリー展開の相違に驚かれることでしょう。
また、戦略もより細かく、深い心理戦が堪能できます。

しかし、絵が下手という一昔前の頭脳戦漫画ではありがちな弱点がありました。
実写版ではそんな視覚面がむしろ大幅強化されていて驚きました。
決勝戦である本作は、そういった映像作品としてのクオリティも集大成にあると言えるでしょう。
毎ターン、億単位で各プレイヤーの持ち金が上下するディスプレイの演出とか超好き。
芸人顔負けのリアクション芸を披露するキャラクターたちと共に、是非お楽しみ下さい(笑)

サイケデリックかつアングラ感漂う会場が魅力の1つでもあるのですが、今回の『エデンの園ゲーム』はその芳ばしいネーミングだけでなく、『神を装う主催者の悪意』がビシバシ伝わってくるイカした内装です。
第2シーズン終盤からそういった宗教がかった雰囲気を仕込んでいたのだから気合い入ってます。

そしてそれらの要素をいっそう引き立てるのが、中田ヤスタカのテクノなBGMです。
なんたって絶望的なシーンで流れる曲のタイトルが『Garden Of Eden』ですからね。
正直、第2シーズンで急にFFのケフカ出てきそうな曲が流れた時は「なんじゃこら」と思ったものですが、このゲーム中に流れると雰囲気バッチシです。
ヤバ気な脳内物質ドバドバになるフリークが続出です(マジで)。

原作 裏話

少々裏話を語りますと、実は公開順とは逆で、先にこの決勝戦を撮影してからドラマの第2シーズンが撮られたそうです。
個人的に、第2シーズンは第1シーズンと比べて編集や演出に違和感というか、ぎこちなさが目立ち、脚本的にも「クオリティ下がったなぁ……?」と感じました。
どうやら無茶なスケジュールなどで前シーズンのような神レベルにまで昇華させる余裕がなかったようです。

しかも当時、まだ原作漫画はゲームごとに不定期集中連載だったため、結末はまるで見えない状態でした。
よってこのエデンの園ゲームは完全オリジナル!
そこで私は愚かにも怖気づいてしまったのです。
「大好きな実写版ライアーゲームの決勝戦まで同じ有様だったらどうしよう!」と。
結局本作を視聴したのは、2年も経ってからでした。

もし同じ不安を今でも抱えているファンの方がいるとしたら、全くの杞憂だと申し伝えましょう!
第1シーズンすら上回る、極上の頭脳戦があなたをお待ちしています。

あああぁあぁ~~劇場へ観に行けばよかったぁぁーー!!!

初見のあなたは、視聴中メキメキと前頭葉が覚醒していくのを感じられることでしょう。
「そんな考え方があったのか!」という爽快な刺激があなたの脳髄を導いてくれます。
ムカつくあいつを華麗にやり込めるトリックもきっと思い付くはず。

まあ絶叫して崩れ落ちる結果になっても責任は持ちませんけどね!

ABOUT THE AUTHOR

ラダ
【プロフィール】
筆者:ラダ
ライアーゲームとTRPG大好きっ子。
自分でオリジナルのゲームやシナリオを作っては、ゲームマスターとして高みから見物するのが趣味。
プレイヤーとしてはポンコツ。
最近リアルでも秋葉原にてライアーゲームを主催し始めたものの、人が集まらないのが悩みドコロ。
興味ある人は連絡してマジで↓
Twitterアカウント『@radayarou

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